紛争の内容
退職した従業員から残業代請求がなされた、タイムカード打刻後の残業時間を含めた計算となっているが、特定日のメール送信時間を大半の労働日の終業時刻としており、妥当性に疑問があるとのご相談でした。
事実関係を確認したところ、確かにタイムカード打刻後に業務を行うこともあるがそこまで多くないということでしたので、交渉事件の代理人として受任しました。
交渉・調停・訴訟などの経過
会社側の聴き取りを踏まえ、こちらでも残業代の計算を行いました。
一部、未払いがあるとしてもおかしくない状況であったため、計算結果を踏まえ、先方の代理人と減額の交渉を始めました。
当初は双方の主張に隔たりがありましたが、徐々に先方が減額の方向で考えるようになり、交渉での解決が可能と思われるラインまで交渉が進みました。
本事例の結末
最終的には先方の請求する残業代の半分程度の残業代を支払うという内容で合意が成立しました。
今後、当事者間の労働契約関係から生じる他の請求を互いに行わないという約束を交わし事件終了となりました。
本事例に学ぶこと
タイムカード打刻後にも残業をしていたとして従業員から残業代請求がされることはままあります。
従業員側に明確な証拠がない場合、ある一時点の残業時間を捉えて全期間にわたり同様の残業をしていたという主張がなされ、多額の残業代を請求されるというケースも少なくありません。
会社としては従業員の主張する時間に残業が行われていないことを反論する必要がありますので、日頃から、日々の業務の流れ、終業後の従業員の行動について把握しておくことが重要となります。
弁護士 吉田竜二