示談交渉とは

企業(ないし労働者の上司、同僚)と労働者との間で労働問題が発生した場合、労働者がはじめから裁判手続に訴える場合もありますが、労働者から企業に対して内容証明郵便などを用いた請求がされることがあります。
請求の内容は事件類型により異なりますが、一般的なものとして、解雇事案では労働契約上の地位の確認及び解雇期間中の賃金請求、未払残業代事案では割増賃金の請求、セクハラ・パワハラ事案では慰謝料の請求などが考えられます。

そうした場合、状況によりますが、企業として裁判手続に発展することを積極的に望むということはないと思われますので、まずは、労働者との間で問題解決に向けた話し合いを行うことになり、その話し合いのことを示談交渉といいます。
なお、示談交渉はあくまで労働者との話し合いであるため、条件が折り合わないなどの理由から交渉が決裂し、その後、労働者が裁判手続に訴えるということも当然のことながら予想されます。

示談交渉の進め方

⑴ 労働者と話し合いに入る前提として、労働者の主張する事実関係及び請求内容について精査を行います。
  当該労働者の直属の上司など当時の事情を把握している人物に対して聞き取りを行い、労働者の主張する事実関係があったのか、なかったのか、把握していないのか、について確認を行います。
 
 確認した事実関係をもとに法文や裁判例にあたり、労働者の請求に法的根拠があるか否かを検討します。なお、労働関係の法文や裁判例は事案に即して総合的な判断を行うというものが多いため、仮に裁判手続に移行した場合、労働者の請求が認められる可能性が高い、または、低いといった見立てになることもあります。

⑵ 上記の検討を踏まえ、労働者の請求に対する回答を準備します。
  労働問題については解雇事案を含め、一般的に金銭解決となることが多いため、労働者に対する回答は問題解決に向けた金銭的譲歩案を示す作業になります。

  労働者の請求の法的根拠の有無ないしその程度を勘案し、労働者に提示する金銭的条件及びその他付随的な条件(解雇事件においては退職の種別など)を決定することになりますが、可能な限り裁判手続への移行は避けたいと考える場合には、勘案事項を度外視した労働者にとって受け入れやすい条件を提示するということもあり得ます。
  労働者とのやり取りは書面で行うことが一般的ですが、電話やメールを用いる場合や面談を行う場合など様々なバリエーションがあり得ます。

⑶ 労働者とのやり取りを繰り返し、条件が折り合った場合には、労働者との間で合意書を取り付けます。
  合意書の中には、金銭的条件のほか、これ以上互いに請求を行わないという清算条項を入れることになりますが、労働問題が拡散することを防ぐ趣旨で労働問題や交渉過程について口外しないという口外禁止条項等を盛り込むこともあります。

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