紛争の内容
従業員の方が自殺をし、ご遺族が労災の申請をしたという相談を使用者の方から頂きました。お話をお伺いしますと、ご遺族は従業員の方が長時間労働によって精神疾患を発症して自殺したと主張していることが判明しました。そして、使用者の方の言い分を聞きますと、精神疾患を発症するような長時間勤務はしていなかったということでしたので、当事務所が労災申請手続における使用者側の代理人に就任し、使用者側の主張を労働基準監督署へ伝えることにしました。
交渉・調停・訴訟などの経過
労働基準監督署の調査官が、使用者の方に対して、従業員の方の勤務時間・作業内容の記録の提出を求め、また、同僚や上司の方への事情聴取を求めました。このような要求に対応し、そのうえで、従業員の方が精神疾患を発症するような長時間労働は行っていなかったことを労働基準監督署に対して主張しました。
本事例の結末
労働基準監督署は、労災の申請を認めませんでした。
本事例に学ぶこと
業務が原因で精神疾患を発症した事実を認定することに関して、厚生労働省が認定をするための基準を発表しております。本件においては、そのような基準にしたがって、精神疾患を発症するような長時間労働が存在しないことを主張する方法を学びました。
弁護士 森田 茂夫
弁護士 村本 拓哉