紛争の内容
従業員が病気により休職をしていたところ、休職期間の満了が近づいたため、復職を求めたという事件です。会社側は、病気により仕事を休みがちであった過去、主治医が軽作業であれば復職が可能であると述べたにとどまる状況に鑑みて、休職前に担当していた業務に復職をすることはできないと判断し、復職を拒みました。これに対し、従業員が弁護士に依頼して復職を求めました。

交渉・調停・訴訟などの経過
従業員は、健康保険による傷病手当金の申請を求める等、体調が思わしくない様子でした。そのため、復職は難しいと主張し、弁護士に対しても復職を拒否しました。そうしたところ、相手方弁護士が1か月分の給与の支払と退職後の傷病手当金の申請に協力することを求め、この条件であれば退職すると提案しました。

本事例の結末
会社側が、早期の解決のために相手方弁護士の提案する条件で和解することを了承しました。

本事例に学ぶこと
休職期間満了時において、軽作業しかできず、休職前の業務に完全に復帰できない場合には、復職を拒否できる可能性があります。規模の大きい会社の場合は、軽作業に従事した後、完全な復帰が可能であるか様子を見ることを求められ、復職を拒否できないようなケースもあるのですが、拒否できないか否かは、会社側に軽作業しかできない従業員を雇用し続けられる余裕があるか否かによって判断されます。本件の場合は、会社側にそのような余裕はないケースでしたので、無条件に復職を拒否することも考えられましたが、相手方弁護士の提案する条件で和解ができるのであればそれで良いという経営判断がなされたので、上記のような和解となりました。

弁護士 村本拓哉