紛争の内容
依頼者は中小企業であり、ほんの1年前に入社してきた中途社員の問題行動に限界を感じて普通解雇したところ、当該解雇が無効であるとしていきなり労働審判を申し立てられてしまいました。
交渉・調停・訴訟等の経過
ご相談にいらっしゃった際、既に労働審判を申し立てられていて、答弁書提出まで1週間もない緊急事態となっていました。そこで、社長と詳細な情報共有をしながら会社の主張を根拠付ける証拠資料をその都度揃えてもらい、労働者の問題行動・違法な行為を基礎付ける資料を整理した答弁書を作成して裁判所に提出の上で、労働審判期日を迎えました。
もっとも、残念ながら、普通解雇の手続・内容に重大な問題があり、会社にとって非常に不利な展開が見込まれました。そこで、事前にどのような展開を迎えるか様々な想定をし、展開によってどう考えるかあらかじめ準備して期日に臨みました。
本事例の結末
良くも悪くも、あらかじめの労働審判期日における裁判官の考え方・反応について、見事なまでに想定の一つと符合するものとなりました。綿密に分岐点を含めた詳細な作戦を練っていたおかげで、即時の対応をすることができ、裁判所を説得することができるだけの材料を提示することで雇用関係を解消させることができました。
本事例に学ぶこと
労働審判を申し立てられる側である使用者・会社は、非常にタイトな時間的制限の下で、適切な反論をしながらも、先を見通した判断が迫られます。本件は、弁護士が先を見通して社長と様々な展開を十分に事前に検討することができていたことが功を奏し、労働審判期日第1回目で、会社が一番に望むことを最優先にした解決をすることができた事例となりました。
弁護士 平栗 丈嗣