紛争の内容
訪日外国人向けの土産物を製造していたが、今般のコロナウイルス感染拡大の影響で受注がゼロとなった、別事業で採算を取ろうとしたがそれもうまくいかず、やむを得ず、製造部門に所属していた従業員を解雇したところ、数日後に労働組合から団体交渉の申入れがあった、とのご相談でした。
会社として団体交渉を拒否することはできない事案であったため、団体交渉の代理人として受任しました。

交渉の経過
団体交渉における要求事項は不当解雇を撤回せよというものであったため、解雇に至った事情や会社の経営状況がわかる資料を作成の上、団体交渉に臨みました。
資料をもとに会社の立場を説明しましたがやはり主張は平行線を辿り、他方、労働組合として復職ではなく金銭解決の意向を有しているようでしたので、その線についても検討を行いました。

本事例の結末
会社として解雇に問題はないと考えていましたが、早期解決の観点から、従前の給与の平均額の3か月分(支給済みの解雇予告手当を含む)の支払いで解決とするとの合意が成立しました。

本事例に学ぶこと
解雇に至る事実関係によりますが、会社が行う解雇の効力が100%有効であるというケースは稀です。
仮に解雇の有効性に問題があるという場合、早期解決の観点から金銭解決が選択されることが多くありますので、解決方法の一つとして念頭に置いておくべきかと思います。